少し前の話だが、愛媛県警が女子大生を誤認逮捕というニュースがあった。
愛媛県警は記者会見を開いて謝罪したのだが、 こんな調子で今まで捜査をしていたんだと考えると、ゾッとする。 幽霊なんか比較にならない、リアルな怖い話とも言える。 ■事件の概要 事件そのものは単純である。 事件が起こったのは、2019年1月9日未明。 タクシーの運転手が、現金5万円とセカンドバッグを盗まれた。 簡単に言えば、そういう事件である。 詳細は、この記事の一番下にある産経新聞のリンクを見てほしい。 ■警察の動き 警察は、タクシーのドライブレコーダーを調べた。 すると、容疑者と見られる女性が映っていた。 その女性が、アパートに入っていった。 そのアパートが、誤認逮捕されることになる女子大生が住んでいたアパートだった。 警察は、ドライブレコーダーに映っていた女性と、 女子大生が似ているということで、事情聴取のために女子大生を警察署に呼び、 自白を強要した。 しかし、結局証拠はなく、誤認逮捕であったことを認め、記者会見で謝罪したのである。 ■愛媛県警の何が問題だったか ・ドライブレコーダーに映っていた女性と似ていただけで、 犯人と思い込む短絡的思考で捜査していること。 ・(盗みを)やっていないことの証明はできないよね? という、悪魔の証明を求めていること。 ・始めから、女子大生を犯人だという結論ありきで進んでいること。 以上の3つが、主な問題だと思う。 仮にこの女子大生が犯人だったとしても、 はっきりとした証拠がない段階で、 犯人だと決めつけるのは、間違いの元になるわけで、 絶対に避けなければならないことだ。 人間誰しも思い込みはある。 しかし、事件を捜査する刑事であれば、そういう思い込みは極力排除し、 事実を積み重ねていかなけっればならない。 直感が役立つこともあるだろうが、証拠がないなら、 どんなに怪しくでも、犯人として捕まえることはできないからだ。 思い込みで捜査をして、刑事の自己満足で終わった結果、 無実の人が冤罪で人生を傷物にされ、 真犯人を取り逃がし、被害者を増やすことにもなる。 だからこそ、捜査は慎重さが大事なのだ。 ちなみに、取り調べには大きく分けて二種類のタイプがあるという。 一つは、被疑者に共感を示し、取り調べというより、 人間対人間で、同じ目線で話して、心を解きほぐしていくもの。 もう一つは、証拠を示したり、供述のおかしなところ、 矛盾しているところを突いて、冷静に追いつめていくもの。 今回の事件の愛媛県警の取り調べには、どちらもないように思える。 俺の直感は正しい、似ているだけで本人と断定できないが、 この女が犯人に決まっているという、意味不明な自信(慢心?)から、 自分が望む答えを言わせるための、取り調べという名の自白強要だったと言える。 ■ウソ発見器でウソは発見できない 記事には、女子大生は、ポリグラフ検査も受けたとある。 その結果を要求したが、明確な答えは得られていないという。 そういった結果を教えてもらえるのかどうかについて分からないが、 聞けたとしても、聞く意味はあまりないと、私は思う。 そもそも、ポリグラフ検査・・・いわゆる嘘発見器で、嘘は見抜けるのか。 結論から言えば、「No」である。 見抜くことはできない。 人の嘘を見抜く方法として、嘘発見器や、 ノンバーバルな動き(咄嗟に出てしまう、コントロールできない動き)を見たり、 マニピュレーター(自分の体に触れたり、いじったりする)などがあるが、 結局のところ、ピノキオの鼻はないというが現実である。 嘘発見器でこういう反応をすれば嘘をついている、 こういうノンバーバルな動きがあれば、嘘をついている、 というものはないということた。 分かるのは、何かに反応しているということだけ。 ポリグラフ検査とは、様々な質問をしながら、 心拍、血圧、呼吸、皮膚の電気反射などの動きを測定し、 その反応を見て、犯人を識別しようというもので、 CQT(コントロール質問法)と、CIT(隠匿情報検査)というものがある。 CQTは、事件に関係のある関係質問と、関係のない無関係質問を混ぜて、 それぞれの質問時の反応を見ていく、といったもの。 CITは、マスコミが報道していない事実を抽出して、 裁決質問と、非裁決質問を混ぜた質問表を複数作り、 一つの質問表を最低3回実施して、その反応を見る、というもの。 裁決質問とは、捜査関係者と犯人しか知らない事実であり、 非裁決質問とは、事実ではないことである。 それぞれの正確性がどれぐらいなのかについては、ここでは省くが、 結論、嘘をついていると断言できる結果は得られないのは確かだ。 反応や検査の結果は、その他の情報と合わせて見ていかなければ、 それだけでは嘘をついていると決めつけられないのである。 今回は、女子大生は屈せずに、やっていないものはやっていないと言い続けたから、 記事にあるような結果になったが、この事件を担当した刑事が、 いつもこんな調子で捜査をしていたのだとしたら、ゾッとする。 くれぐれも、事実を重視した捜査をしてほしいものである。 愛媛・女子大生誤認逮捕 手記公開で分かったずさんな捜査の中身 産経新聞 https://www.sankei.com/premium/news/190813/prm1908130009-n1.html
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人間は、自分のことを分かっているようで、分かっていない。
普段、自分の反応や行動を見ているはずなのに、 観察はしていないから、目というレンズに映っても、認識はしていない、 そして、こうありたいと思う自分に、バイアスがかかる。 シャーロック・ホームズがベイカーストリートにある、 二人が住んでいるアパートの階段が何段あるか知っているかと、 ワトスンに言った件に通じる話である。 そう言われても、自分のことは中々分からない。 でも、もし感情を可視化することができたら・・・? そんなワクワクするような、ドキっとするような、 研究が進んでいるらしい。 以下より、記事を引用する。 感情を脳波で可視化、記者が体験 国内大手企業で活用進む https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/09/news125.html 感情は、「ポジティブ・ネガティブ」を表す横軸と「活性・不活性」の縦軸で表される グラフ上に点として表示>される。例えば「ポジティブ」「活性」ともに 高い位置には「興奮」「喜び」などがあり、「ポジティブ」でも「不活性」側に振れると 「満足」「リラックス」などの感情となる。 脳波を測定する計測器を付けて、何かしらの行動をすると、 グラフ上の軸が動き、自分の感情がどこにあるか分かる、というものだ。 あることが起こったとき、人間の脳と言われる大脳新皮質では、 冷静に・・・と思っていても、その下にある動物脳、大脳辺縁系では、 激しい怒りを抱えている・・・ ということは、 日々生活していれば、仕事をしていれば珍しいことではないと思う。 そういう我慢も、社会の中で生きていくには必要ではある。 しかし、感情を抑えつけ過ぎれば、やがては体や心に、 何かしらの形で現れてくる。 神経症や心身症といった形で。 しかし、いつリミットを越えるかは分からない。 だから、突然に爆発して、信じがたい事件を起こしたり、 病気になったりしてしまう。 だがもし、感情を可視化するというものが、実用化されて、 自分の感情のリミットを見ることができたら、 或いは、カウンセラーや精神科医が、クライアントの状態を、 可視化することでより詳細に見ることができたら・・・? 限界を突破して壊れてしまう前に、 解消させることもできるかもしれない。 可視化させるのは、なんだか自分の内側を、 見せたくない部分を見せているようで、 恥ずかしいかもしれないが、使い方次第では、 ストレスや、それに伴うリミットを見て、 もう限界・・・という閾値(しきいち)を越えてしまう前に、 問題解決に向けて、対策を講じることができるかもしれない。 そうなれば、ストレス社会が多少改善され、 より過ごしやすい生活環境ができる可能性もあると思う。 もちろん、先程も書いたとおり、 使い方次第だが、面白い試みだと思う。 今後の進展にも期待。 <参考記事> 感情を脳波で可視化、記者が体験 国内大手企業で活用進む https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1905/09/news125.html ■子供を狙った卑劣な犯行
死人を鞭打つのは避けるべきかもしれないが、 この事件の犯人に、そんな配慮が必要かは疑問だ。 <参照記事> 産経新聞 岩崎容疑者、伯父夫婦と3人暮らし、隣家とトラブルも 川崎19人殺傷 文春オンライン 「おはようございます!」犯人・岩崎隆一(51)は事件直前、何食わぬ顔で挨拶した《登戸殺傷事件・現場ルポ》 共同通信 川崎児童殺傷、包丁を4本所持 自殺の51歳男、強い殺意か 無差別殺人と言われる事件を起こす人間は、 逮捕されて動機を聞かれると、「誰でもよかった」と言うことが多い。 そして、世の中に不満があるから、というように、大概は動機がくだらない。 世の中に不満がない人間などいない。 完璧に恵まれた環境で育った人間だと、極々一部。 明るく見える人でも、外からは想像もできない過去を持っている人もいる。 大半の人は、そういったことがありながらも、懸命に生きている。 しかし、こういう事件を起こす人間は、 自分が変わることで環境が変わっていくとは考えない。 気に入らないから暴れる。 極めて幼稚な発想で、関係のない人間を巻き込む。 誰でも、余裕がなくて、人を傷つけてしまったり、心無い言葉を言ってしまうことは、 ときにはあるだろうが、こういった事件は、越えてはいけない一線を越えているので、 犯人にどんな事情や理由があっても、同情の余地はなくなる。 そして、誰でもよかったと言いながら、 子供や女性、老人など、自分より弱いと思われる人間を狙う。 意識していようがいなかろうが、本当の意味で誰でもよかったわけではない。 自分より弱いと思われる人間なら誰でもいい、ということなのだ。 今回は、こういう事件を起こすのはどんな人間なのか、 そのあたりを見ていく。 1、概要
令和元年(2019年)5月9日付けの産経新聞の記事より。 イジメが原因での自殺が、度々ニュースに出るが、 その対策として、平成25年9月に施行されたのが、「いじめ防止対策推進法」である。 今回の産経新聞の記事では、推進法が施行後もなくならないイジメの問題に対処すべく、 改正案を話し合った、というものだ。 超党派の国会議員が勉強会でまとめた試案を、被害者家族と話し合ったが、 去年の11月の試案にはあった、学校側の義務規定が、 今年の4月に示された試案にはなかった、つまり、削除されていた、ということらしい。 こういうことがあったら、担任の教師や校長などは、 こういう責任を負う、というようなことが書かれていない、ということである。 詳しくは、産経新聞の記事を見てもらえればと思うが、 私は少し、別の角度からイジメについて書いてみたいと思う。 いじめ対策法改正が暗礁に 超党派議員の試案に被害者ら反発「大人の都合より子供の命を」 現在のいじめ防止対策推進法の概要 目次 1、概要 2、イジメはゼロにできない 3、法律だけでは子供は笑顔にならない 4、イジメによる自殺報道に覚える違和感 5、イジメは子供の問題 6、まとめ ※白犀チャンネルで公開した動画のテキスト版です。 ■"自殺"が頭を過るときGWが終わって、仕事、学校がまた始まる、
6月は祝日なしで、夏休みはまだまだ先。 そう考えると、いつもの日曜日の夜より、気持ちが重くなったり、 GW中、特にどこにもいかずに、周りが楽しそうにしてるのを見て、 なんとなく気分が落ち込んでしまった人もいるかもしれない。 仕事だった方は、お疲れ様です。 私も、スーパーに行きましたが、いつもどおり営業してくれていて、 本当に助かりました。 仕事だから当たり前、かもしれないけど、ありがたいことだと思います。 話しを戻すと、そうやって長い休みがあって、 休み明けが近づいてくると、気持ちが落ち込み過ぎて、 "自殺"という言葉が頭を過ることもある。 そんなことじゃいけないと、気持ちを上向きにしようとしても、 そうなれなくて、余計に落ち込んで・・・ 何のために生きてるのか、なんでこんなに辛いんだろう、 もう頑張っても無駄じゃないのか・・・ という、否定的な気持ちが連鎖して、重なりあって強くなり、 また"自殺"が頭をよぎる・・・ "自殺"が過る瞬間は、それ以外にも、大切な人を亡くしたときとか、 入試とか、就職など、人生の節目と言われるところで、大きな目標が破れたとき、 気力が途切れて、もう死のうと思ってしまったり・・・ イジメで、自分という存在そのものを否定されたような気持ちになったり、 殴られたり、いろいろ痛い思いをさせられたら、 その苦痛から逃れるために、自殺ということを考えてしまったり・・・ 自分ではどうすることもできないことに対して、 心無い言葉を繰り返し浴びせられたり・・・ |