プロットで見る映画の話。
今回の映画は・・・ タイトル:インセプション 監督:クリストファー・ノーラン キャスト:レオナルド・ディカプリオ 渡辺謙 ジョセフ・ゴードン=レヴィット 他 製作国:アメリカ 公開日:2010年7月23日 ---------------------------- この映画は、潜在意識に侵入して標的の"秘密"を抜き取る産業スパイ、 ドミニク・コブ(レオナルド・ディカプリオ)が、 自身の最大の問題を解決することと引き換えに、 日本人実業者のサイトー(渡辺謙)から依頼を引き受け、 集めた仲間とともに、標的への"インセプション(思考の植え付け)"を達成するために奔走する、 SFアクション。 プロットとしては、大きく分けると4つになります。 1、プロローグ 2、第一幕(現実世界) 3、第二幕(夢の中) 4、エピローグ この4つが、さらに細分化されて構成されていますが、 メルマガでは、「プロットで見る」の範囲を満たしつつ、 分かりやすく解説します。 1、プロローグ 場面1:始まり~コブとアーサーがサイトーと話しているところまで ここのポイントは以下の2つ。 ・何か問題が起こっていること。 ・テーブルを挟んで向き合っている二人は、知り合いらしいこと。 この場面は、ここに至る前に何か問題が起こったことを示唆しており、 向かい合う二人は初対面ではなく、知り合いらしいことが見て取れる。 これから始まる物語に、この二人が大きく関係しているだろうことが分かる。 さらに、なぜ銃を持っているのか、銃と一緒に持っていた小さな独楽みたいなものは何か? という、多すぎない「疑問」を提供することで、見る側を次のシーンに引っ張り、 興味をそそるようにしている。 場面2:アーサーが撃たれて目を覚ますまで ここのポイントは以下の5つ。 ・建物内装が、場面1で二人(コブとサイトー)が向き合っていた場所と同じ。 ・ここは夢の中である。 ・コブたちは、標的の潜在意識に侵入して機密情報を盗み出す産業スパイである。 ・夢の中で死ぬと目が覚める。痛みは現実と同じように感じる。 ・コブには、モルという妻がいて、なぜかコブの仕事を妨害してくる。 アーサーがいて、コブはほとんど変わっていないが、サイトーは明らかに若い。 そういった状況の違いはあるが、場面1と同じ内装の建物であることから、 場面1も夢の中なのだろうことが分かる。 そして、順調なはずの仕事が、モルによってひっくり返されるという、 後のストーリーに大きく影響する流れが、この時点で示されており、 物語中最大の敵というべき人間が、コブの妻であることが、この物語の軸になっている。 モルとのことがなければ、コブは恐らく、この後のサイトーからの依頼を受けなかっただろうし、 このインセプションという物語そのものが、コブとモルからできていったとも言えるかもしれない。 場面3:新幹線を降りるまで ここのポイントは以下の4つ。 ・夢の中で、もう一度夢の中に入る・・・夢の中の夢・・・ことができる。 それは仕事で普通に使う手段の一つ。 ・標的を誘い込む夢を設計する人間がいる。 ・死ぬ以外に、夢から覚める手段として「キック」と呼ばれるものがある。 ・夢を複数の人間で共有するには、スーツケースのような機械が必要。 新幹線の中という、現実世界に戻ってくるまでに、 どのようにして夢の中に入り、共有しているか、 どうやって目覚めるかといった、大枠が見える。 ここでは"見せる"だけで、詳細な説明はないが、 見ているほうは、「こういうもの」というのが、なんとなく分かる。 また、ここまでで、コブたちの日常の一端・・・仕事ぶり・・・も示され、 第一幕に入っていく前に必要な、最低限の情報が出揃う。 ※キックとは 例えば椅子に座ったまま寝ていて、 徐々に体が傾いて椅子から落ちそうになったとき、床に倒れ込む前に目が覚める。 その状態を意図的に作り出すこと。 ここまでが、プロローグとなり、 新幹線を降りたところから、いよいよ第一幕(現実世界)に入っていく。
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